2009年11月18日

Wolfson WM8731

コレは例のマルチメディアドータボードに付いていたaudio codecである。機能としてはヘッドフォンアンプ付きオーバサンプリングフィルタ内蔵DAC+ADCで、サンプリング周波数=8/32/44.1/48/88.2/96[kHz]に対応している。性能・品質はWM8740/8741/8742やアナデバのAD1955等の本格DACと比べれば、全く語るに値しないのだが、先月後半から今月前半に掛けて手持ちの計測器で延々と評価していた(てか、どっちかと言うと手持ちの計測器の評価の方が中心だったのだが)。

先ずは、WM8731のデータシートを↓に貼っておく。

・Wolfson Microelectronics WM8731 / WM8731L
 http://www.wolfsonmicro.jp/uploads/documents/en/WM8731.pdf

今日日(きょうび)のこの手のパーツは、性能が良くなり過ぎて個人で買えるような計測器では評価が難しい。が、MP3再生機程度でしか使わないような手抜きなコストを重視したモノだと、その質の悪さが計測限界の内側に入って見えて来るので楽しい(笑) で、書こうと思えば腐る程書くことがあるのだが、読む方が疲れると思うのでデジタルフィルタ部分に絞って要点のみ以下に書くことにする。とりあえず、ドータボードのaudio codec周辺のスケマを↓示しておく。

AudioCodecSchema.PNG


見ての通り、出力は line out ではなく headphone out になっている。本来なら line out から線を引き出して計測すべきなのだが、半田付けにビビッてしまったのでここではヘッドフォンアンプを介した出力を計測していることをお断りしておく。なお負荷は繋いでない(オシロのみ)。

【インパルスレスポンス】

ImpulseResponseWM8731-48.PNG


サンプリング周波数を48[kHz]に設定し、幅 1/48,000[s] のパルスを再生させた時の波形を観測した結果が↑である。良く見れば(データシートには書かれてないが)5倍オーバサンプリング+1次補間を(多分ΔΣDAC側で)行っていることが判る。

【フィルタ特性】
同じくサンプリング周波数48[kHz](Fs=48[kHz])で、LFSRを用いて生成したノイズデータ(ホワイトノイズ)を再生して、それをFFTに掛けて観測。先にデータシートにあるフィルタの特性図を↓に示しておく。

DACFilterResponseWM8731-48.PNG


阻止域減衰量が約-50[dB]と、もはや論外の特性だが、これを手持ちのオシロで計測した結果が↓だ。

DACFilterResponseWM8731-48-2.PNG


いろいろとノイズが乗っているので見辛いものの、ほぼデータシート通りの特性を描いていることが判るし、この結果からも5倍オーバサンプリング(240[kHz])になっていることも判る。

【エイリアシング(折り返し歪)】
大抵1[kHz]の正弦波を入力し、倍音信号が元信号に対してどのくらいの割合で入っているかをT.H.D.として示すが、このやり方は少々卑怯な手法だ。WM8731のデータシートでは、line out の場合で-80[dB](0.01[%])となっていて、もはや計測するデジタルオシロ側のADCの歪率より低いので計測出来ない(オシロ側のAD変換時に生じる歪が約-60[dB]くらいある)が、ここではデジタル固有の歪であるエイリアシングについて観測してみることにした。

方法としては、ナイキスト周波数(サンプリング周波数の1/2)に近い正弦波を再生し、その波形を観測するというもので、ここでは性能指標として意味のある客観的な数値を得ようという目的はない。具体的にサンプリング周波数48[kHz]設定で21.5[kHz]の正弦波を再生した時の観測結果を↓に示す。

AliasingWM8731-21_5.PNG


図上のように拡大してみると、正弦波が折れ線補間状態になっていて形からして悪く、図下のように数十周期に渡って観測してみるとAM状態になっている。これでは、48-21.5=26.5[kHz]の正弦波を混入して再生されているのと同じで、聴感上は26.5-21.5=5[kHz]のトーンが幻聴ではなくハッキリ聴こえる。これは「ヤマ〜ダ電機」と聞くと「山〜田元気」に聴こえてしまうのとは訳が違う。嘘だと思ったら調べてみな。

NemutakunaruYamada.PNG

ところで、「ネムタクナル山田」改め「ネル山田」の方が良いか?


それはさておき、Hi-Fi用途で使われるDACではどうだろうか。例として、アキュフェーズのSACD再生機でも使われているDAC AD1955のデジタルフィルタ特性を↓に示す。

DACFilterResponseAD1599-48.PNG


見ての通り阻止域減衰量が約-120[dB]となっていて、こうなると通常手に入る計測器で特性を調べるのは無理だ。この図は実測値ではなく理論値だと思うが、仮に手元にAD1955があっても測る気が起きない。

AD1955 データシート:http://www.analog.com/static/imported-files/data_sheets/AD1955.pdf
posted by Masa at 16:29| Comment(0) | ブログ | 更新情報をチェックする
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