2010年05月05日

スイッチング電源用LPF設計法 (1/3)

事情を知る方には説明不要なのだが、経緯を書き出すと長くなるのでそれは省く。今回は私が用いているインチキ安直スイッチング電源用LPFの設計法について。電源からのスイッチングノイズを取るのが目的だ。

先ずEETIMES Japanにあった別のLPF設計例を↓に挙げておく。

・第4回 基本現象を応用して回路設計 〜 フィルタ 〜
 http://eetimes.jp/column/3121

↑の例は、正直言って電源用フィルタとして実例をあまり見たことがない(サージ電圧を吸収するスナバ回路なら良くあるが)。言わんとしていることは判らないでもないものの合理的でないように感じる。

さて本題。これから書く方法について画期的だとは思ってないし、寧ろ常識的なのではいかと考えている。が、その手法について詳しく解説されている文献を今まで見たことがない。単にインダクタとキャパシタの2個の部品で作る基本的なLCフィルタ。なので書くまでもないと思うのだが解説用スケマを↓に示しておく。

NoiseFiltersSch.PNG


回路を2つ示したが、LCフィルタは実質RLCフィルタである。何故なら、Lは内部抵抗(右図の直列に接続された抵抗成分)を持つことになるからだ。例えば秋月で扱っている電源用インダクタを例にしてみよう。

・電源用インダクタ(コイル) 22μH1.3A TSL0709S−220K(4個入)
 http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-01269/

>■直流抵抗:0.086Ω

この部品を使うことを前提として以下話を進める。本設計法の結論を一言で云えば、「Lの内部抵抗を『ダンピング抵抗』とみなして活用する」というだけのことで発想は単純である。具体的には、Q値が1/√2以下になるようにCの容量を決めれば良い。それだけのことだ。Q = 1/R * sqrt(L/C) であるから、Wolfram Alpha を使って解くと次の様になる(但し、求めたいCは x とする)。

1/sqrt(2) >= 1/0.086 * sqrt(22*10^-6/x)

解は x >= 0.005949161709031909 となり、このことからCは約6,000[μF]以上であれば、理論上ゲインが+0dBを超えるようなf特にならずリンギングが起きない。この場合E6系列6,800[μF]で良い。但し、経年劣化等でCの容量が減ったり、Lの許容が広く精度が悪くて表示値より大きい場合もあることを考えれば、Cは余裕を見て10,000[μF]品を使った方が電源投入直後のオーバシュートも抑えられるので妥当の様に思う。

参考までに、LTspiceを使って過渡特性とf特を調べた結果を↓に示す(Cの容量は、green=3,300[μF]、blue=4,700[μF]、red=6,800[μF]、teal=10,000[μF])。

NoiseFilter.PNG


ここではLとCの2個の部品だけで済ます机上の話を紹介した。この方法が空論(仕様に合わない)場合の実用的設計法が別にあるので、それは次回書くことにする。

余談だが、AVCCピンのある8ビットAVRの、VCCとのデカップリング方法について旧ドキュメント中10[μH]と0.1[μF]を使ったLPFが掲載されていた。が、今は "If the ADC is used AVCC should be connected to VCC through a low-pass filter." と書かれてあるだけで具体的な回路が示されなくなっている。

口には出さなかったが心のなかで「ちょっと拙い気がするんだがなあ」と思っていたら案の定削除されたようである。拙いというのは、Q値が1/sqrt(2)を超えるようなLCフィルタになってしまった場合、特定の周波数(=1/(2π*sqrt(L*C)))で共振が起きてLPFとしての意味が無くなるからなので注意して欲しい(Lの内部抵抗が充分に大きければ共振を抑えるダンピング抵抗として働くのだが)。

-- 続く --

posted by Masa at 09:17| Comment(0) | ブログ | 更新情報をチェックする
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